PROJECT OUTLINE

JSOLは、モノづくりの様々なフェーズ(設計〜開発〜製造)を、最先端の解析・シミュレーション技術でサポートしている。現在、自動車をはじめとするモノづくりの世界では、製品や部品を軽量・高強度化するキーマテリアルとして、樹脂と繊維を複合して補強した繊維強化樹脂(FRP)の利用が拡大されており、より低コストで効率的な製造を実現するために、樹脂・複合材の設計段階における成形の精緻な解析・シミュレーションが求められている。JSOLでは、かねてよりCAEソリューションとしてあらゆる物理現象を解析・シミュレーションする有力なソルバーAnsys LS-DYNAを提供してきた。ただAnsys LS-DYNAは汎用ソルバーであるがゆえに樹脂・複合材にそのまま適用することは困難だった。
そこで2016年よりAnsys LS-DYNAと連携して樹脂・複合材の成形に特化した解析機能を提供するJ-Compositesシリーズの開発をスタート。まずは2017年に各企業の解析担当者、設計者のニーズを踏まえて、プレス成形解析モデル作成ツール「Form Modeler」をリリース。続く2018年には、樹脂・複合材の成形結果を考慮した構造解析をサポートする「Fiber Mapper」を開発。さらに2019年にはプレス成型から圧縮成形へと対象範囲を拡大し、圧縮成形解析モデル作成ツール「Compression Molding」の開発に着手。解析のスペシャリストのノウハウやアイデアを、幅広いユーザーに活用してもらえるソフトウエアとして製品化することに成功した。

BEFOR & AFTER

お客様の課題

課題 1

解析・シミュレーションを行える人財が不足しているため、
樹脂・複合材の設計段階での成形不良予測が困難。

課題 2

複雑なパラメータ設定が幾つも求められるため、
容易に解析・シミュレーションができない。

課題 3

汎用ソルバーであるAnsys LS-DYNAの機能を使いこなせず、
開発の短縮・コストダウン、生産性向上に十分に活かすことができない。

導入効果

効果 1

モノづくりのCAEを促進。シミュレーションによって、プレス成形時の「しわ」などの成形不良が予測できるため、試作回数が減りコストが削減される。

効果 2

材料特性や繊維配向、プレス速度など、実際の成形パラメータを指定することで、誰にでも樹脂・複合材成形シミュレーションが実施できるようになる。

効果 3

操作が複雑なAnsys LS-DYNAを簡単に利用できるソフトウエア(J-Composites)の提供により、シミュレーション作業そのものの工数削減にも貢献。

PROJECT
INTERVIEW

Mission

お客様の課題

製造業では、グローバルな競争が激化する中で、新製品を開発し市場に投入することのスピードアップが求められている。そのため、設計段階において解析・シミュレーション技術による設計評価を行うことで、試作にかかる時間やコストの削減が図られている。しかし、さまざまな産業で軽量・高強度化のキーマテリアルとして普及する樹脂・複合材については、解析・シミュレーション技術の適用が難しかった。その理由のひとつは、複合に使用する繊維の形態と樹脂の種類の組み合わせによって適した工法が異なり、多種多様な成形工法が存在することにあった。また、かねてよりJSOLが提供してきた解析・シミュレーションの有力な汎用ソルバーAnsys LS-DYNAは、操作に複雑なパラメータ設定を必要とするため、モノづくりの最前線で活躍している解析の専門家レベルでないと、技術者たちが使いこなすのは非常に困難だった。

Answer

JSOLが出した答え

さまざまな企業のモノづくりをCAEで支援する社内の人財パワーを結集し、汎用ソルバーAnsys LS-DYNAをメインソフトとして樹脂・複合材の複雑な成形解析を効率的に実現するツールシリーズJ-Compositesを開発した。「高度な数値解析技術」「コンピューター上に物理を構築するモデル化手法」「解析データの分析・エンジニアリングノウハウ」などに精通したプロフェッショナル人財の知見を、システム構築の技術・ノウハウ、経験を有する開発チームがJ-Compositesというソフトに集約して、幅広い技術者に自社のモノづくりに活用してもらえるようにした。樹脂・複合材の解析作業に必要なパラメータ設定や解析モデル作成を自動化するなど、それまでデジタル技術を使った設計評価の妨げとなっていた課題を解決する機能の搭載を実現した。

システム全体図

J-Composites LINE UP

Form Modelerの特徴

~プレス成形時の不具合を高精度に
予測し、条件の事前検討を可能に~

物性試験から得られる材料強度などの特性を解析・シミュレーションに適したデータに変換し、さらに繊維配向や積層構成を製品モデルに反映させることで、複合材料設計における煩雑な作業の工数削減を可能にする。

Fiber Mapperの特徴

~プロセスの影響を考慮し、
構造解析の精度を向上~

不連続繊維強化樹脂材料の成形解析結果を構造解析用に引き継ぐためのツール。成形解析結果を考慮した構造解析を可能にする。

Compression Moldingの特徴

~圧縮成形による繊維と樹脂の
変形挙動を予測~

形状モデルを読み込んだ後、金型の成形条件、複合材、解析条件の設定を行って解析モデルを作成。材料 データベースが実装されており、材料データの作成・管理を可能にする。

Effect

答えのその先 〜AFTER STORY〜

J-Compositesによって、樹脂・複合材を使ったより軽くて強い製品を目指すモノづくりの設計検討が容易に行えるようになった。解析・シミュレーションに必要なデータの準備や解析モデルの作成などが自動化されたことで、従来まで求められていた専門的なノウハウやスキルが不要になった。また、J-Compositesを活用することで「プレス成形時の高精度な不具合予測」「圧縮成形による繊維と樹脂の変形挙動予測」などが可能になり、頭の中の見えない設計の答え(成形時にどうなるか)を目で確認しながら開発が進められるようになった。これらの効果により、試作回数の減少や、それにかかる労力の軽減が実現され、樹脂・複合材を使ったモノづくりが加速すると思われる。
また、J-Compositesは、ユーザー企業の競争力強化だけでなく、ユーザー企業が属する業界、ひいては社会にもポジティブな影響を与えることが期待される。一例として樹脂・複合材は、燃費向上を目的に車両に採用される面があるため、その利用拡大は環境負荷の低減にもつながっていくだろう。

PROJECT SCHEDULE

2016年

J-Compositeプロジェクト
立ち上げ、企画開始
FoM(Form Modeler)
開発スタート

2017年

FoMリリース
FiM(Fiber Mapper)
開発スタート

2018年

FiMリリース
CoM(Compression Molding)
開発スタート

2019年

CoMリリース

2020年〜

各シリーズの
継続バージョンアップ

MEMBER INTERVIEW

※記載されている製品およびサービスの名称は、
それぞれの所有者の商標または登録商標です。

PROFILE

S.Hiroi

S.Hiroi

エンジニアリング事業本部
解析技術第一統括部
ビジネスデベロップメント部
ソフトウェア開発課 課長代理
2005年(新卒入社)

J-Composites プロジェクトには、CoMシリーズより参画。PM(プロジェクトマネジャー)として、ユーザーに高度な解析技術を容易に活用してもらえるプロダクトを追求。開発方針やプロダクトの機能決定、詳細仕様のレビューといったプロジェクト全体のかじ取りのほか、プログラム開発にも携わる。

S.Dougherty

S.Dougherty

エンジニアリング事業本部
解析技術第一統括部
ビジネスデベロップメント部
ソフトウェア開発課
2016年(キャリア入社)

J-Compositesシリーズの立上げから参画している開発責任者。プロダクトの構成管理(バージョン、構成アイテム、変更管理など)、詳細仕様策定、プログラム開発などを担当し、開発チームの要としてプロジェクトの完遂に貢献した。

Chapter 01

組織改編で
開発マネジメントを強化し、
高品質を追求

S.Dougherty

S.Dougherty

3つ目のシリーズのCoMの立上げにあたって、Hiroiさんが新たにPMとしてプロジェクトに参加してくれることになりました。とても心強かったことを覚えています。それまでは、社内の解析エンジニアが考えた仕様を受けて、ほぼ独力でプログラミングをしていたので、独自でやる気楽さもありましたが、個人でできることの限界も感じていました。

S.Hiroi

S.Hiroi

新しくやりがいのあるプロジェクトにアサインされて、張り切りました。でも不安もありましたね。J-Compositesシリーズの2つの製品が既にリリースされている段階での参加でしたから、自分が入ったことで、開発チームの文化や円滑に回っていた部分を壊してしまわないかと心配していました。

S.Dougherty

S.Dougherty

その心配は不要でしたよ。Hiroiさんと連携、分担してプログラムを進めていくことで、よりスピーディに進めることができたという実感があります。また、HiroiさんがPMとして、それまでの開発チームに足りなかったマネジメントを積極的に行ってくださったことも、効果があったと思います。

S.Hiroi

S.Hiroi

開発のマネジメントをブラッシュアップすることは、このプロジェクトに参加するにあたって、私が最も大切にしたポイントのひとつです。例えば、開発プロセスやバージョン管理ツールを標準化することで、開発効率や品質を向上させるともに、Doughertyさんの卓越した技術力がJSOLの他のプロジェクトへも横展開されていくといいなと考えていました。

S.Dougherty

S.Dougherty

今回のプロジェクトでは、開発マネジメントだけでなく、開発作業自体も個人開発からチーム開発へとブラッシュアップされましたよね。

S.Hiroi

S.Hiroi

やはりチームの力をうまく集めると、品質は確実に上がります。例えば、ユーザビリティです。インタフェースの配置を考えるにしても、多くの人の目線があったことで、より良いものができたと思います。

Chapter 02

開発メンバーのベクトルを
合わせて難題をクリア

S.Hiroi

S.Hiroi

樹脂・複合材成形シミュレーションのノウハウやAnsys LS-DYNAのプロフェッショナルが持つ解析技術をJ-Compositesという形にするために、具体的な仕様へ落とし込むのが非常に難しかったです。

S.Dougherty

S.Dougherty

J-Compositesの開発は、社内のCAE や解析技術の専門家がソフトウエアの要件を決め、それを開発メンバーが受け取ってプログラミングしていくという流れで進められました。

S.Hiroi

S.Hiroi

成功の鍵は、開発メンバー間のベクトル合わせだったと思います。同じゴールに向かえるように、東名阪の各拠点に分かれていたメンバーのコミュニケーションに気を配りました。Webミーティングを実施する際、オンラインでのデメリットをなくす、つまり対面と同じくらいに議論が盛り上がるように、みんなが自由に書き込めるツールを導入したりしました。その効果は、ありましたか?

S.Dougherty

S.Dougherty

もちろんありました。プロジェクトが進行し、ミーティングを重ねるにつれて、他の開発メンバーとの相互理解が深まっていきました。コミュニケーションについて言うと、私の場合、日本語が母国語ではないため、細かいニュアンスが掴めないことも時にはあります。しかし、チームで些細なことでもすぐに聞ける関係性ができていましたので、言葉の壁を乗り超えられたと思っています。

S.Hiroi

S.Hiroi

コミュニケーションの問題はなかったとして、開発業務自体はどうでしたか?リアルな樹脂・複合材の合成成形をバーチャルな3Dで表現するのにかなり奮闘していたみたいだけど・・・

S.Dougherty

S.Dougherty

3D技術は、J-Compositesに関わるまでは未経験でしたからね。現実世界の複雑な形状を点と線で近似化する難しさがありました。ですが、ネットの隅々にある論文を読み漁り、何とか答えを見つけることができました。当時は辛さもありましたが、振り返ってみると楽しい時間でした。

Chapter 03

自分たちの製品を業界の
次世代スタンダードに

S.Dougherty

S.Dougherty

今回のプロジェクトでは、既存のコードべ―スなどの制約がないGreenfield で行いました。真っ白な状態からのスタートでしたので、企画からリリースまでの多方面の工程に携わり、手を加えるという私にとって初めての経験となりました。様々な角度から開発やコア技術と向き合い、開発者として一段と成長できたと感じています。

S.Hiroi

S.Hiroi

私も、自分自身の確かな成長を感じました。まだ存在しない領域の製品を目に見える形にして、お客様に使っていただけるようにすることの大変さと面白さを味わうことができました。

S.Dougherty

S.Dougherty

自分が手がけた製品をお客様に使っていただけるというのは、大きな喜びです。営業担当者を介して、自分なりに苦労して創りあげた機能について、お客様から好評価をいただいたという知らせを受けた時は心からやりがいを感じましたね。

S.Hiroi

S.Hiroi

時にはお客様から好評価だけでなく、機能や使い方に関するマイナスの評価が出てくることもあります。しかし、それらの声に応えることこそが、J-Compositesがもっと広く使われるための道だと思います。樹脂・複合材を使う製品をつくる時、当たり前のようにJ-Compositesが使われる。いつかそんな状況を実現したいですね。

S.Dougherty

S.Dougherty

きっと、実現できますよ。私はこれまで数社のIT企業で働いてきましたが、その中でもJSOLには価値ある製品を創り出す強い力を感じますから。

S.Hiroi

S.Hiroi

同感です。JSOLという会社は、多方面な領域のプロフェッショナルがお互いを尊重し合いながら、それぞれの専門性を発揮します。そこから生まれる力をマネジメントや意識の共有によってうまく一つにまとめることができれば、どんなプロジェクトでもゴールに近づいていけると思います。

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