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PROJECT OUTLINE
今、あらゆる企業で働き方改革、生産性向上を掲げて、ITを活用した業務DXが推進されている。テレビ、ラジオなどの放送事業を中心に、さまざまな事業を展開する総合メディア企業TBSグループでも、業務の効率化ひいては経営改革を目指して、新たな会計システムの構築が計画された。ただし、放送事業の会計システムの刷新は容易ではなかった。「日に数千件も発生する多種多様かつ少額(小物、飲料、弁当等)の領収書の処理、個別の番組によって異なる承認ルートなど、特有の事情への対応が必須になってくる。さらに、制作現場を飛び回る社員が会社に戻らなくても手軽かつ正確に経費精算をするためのモバイル対応も求められた。また、新たな会計システムの導入により、番組の収支を正しく把握し、経営に役立てること、すなわち管理会計の高度化もテーマとなった。幾つかの実力あるSIerがTBSグループからのRFP※を受けた中で、放送業界での会計システム構築の実績と、お客様の業務の中で発生する課題点を細かくとらえた提案内容が評価されて、JSOLの提案が採用された。JSOLとお客様が一体となって、経費精算や管理に関わるすべてのユーザーの使いやすさを考慮した会計システムが構築された。その後、グループ主要企業に加え、新たに再編し設立されたグループにも新会計システムが導入され、TBSグループの制作現場と経営判断を支えている。
※提案依頼書。
発注側の企業が情報システムの導入や業務委託を行うにあたり、発注先候補の事業者に具体的な提案を依頼する文書のこと。
BEFOR & AFTER
お客様の課題
課題 1
経費処理が紙ベースで行われていたため、社員はどんなに忙しくても経費精算のために制作現場から会社に戻らなくてはならなかった。
課題 2
放送事業特有の事情、組織体制により、500を超える経費精算の承認ルートが存在しており、標準化、システム化が容易でなかった。
課題 3
グループ全体への導入を想定し、コストを抑えて導入・活用できるシステムが必要だった。また、番組ごとの煩雑なコスト管理を精緻化する必要があった。
導入効果
効果 1
AI-OCR※1の活用により、領収書をスマートフォンで撮影するだけで精算申請書に必要な情報が自動入力されるようになり、社員の経費精算業務の負荷が低減した。
効果 2
ワークフローパッケージソフトを基盤に、証憑(法律で保存が義務付けられた書類の総称)の電子化、電子ワークフローを実現。複雑な承認ルートに対応した経費精算システムが構築された。
効果 3
ユーザーフリーライセンス体系のBIツール※2を利用することで、多くの番組プロデューサーや制作現場社員に番組別損益状況を提供できるようになり、コスト管理に資するタイムリーな予実管理が可能になった。
※1
AI(人工知能)を活用し、OCR(光学文字認識)の機能を飛躍的に向上させた技術や機能のこと。
※2
社内外のデータを収集・分析・見える化して経営等に役立てるツールのこと。
Mission
お客様の課題
TBSグループの経費精算業務には多大な手間暇がかかっていた。紙ベースの領収書と精算申請書が前提だったため、申請者が印刷した書類に押印し、それを上長に提出し承認(押印)を受けたうえで経理に回されるプロセスとなっていた。従って経費精算時には、制作現場から会社に戻る必要があり、番組制作に忙しい社員の負担になっていた。会社に行かなくても、オンラインで精算ができる会計システムがあれば課題は解決するわけだが、その実現には乗り超えなくてはならない数々の壁があった。ひとつには、処理の対象となる経費の種類の多さが挙げられる。テレビ局では、ロケ先で必要になった小物や弁当のような少額の経費が日々何件も発生していた。また、番組ごとに承認ルートが異なる点も厄介だった。たとえば一人のアナウンサーがタクシーに乗る場合でも、テレビ出演時とラジオ出演時では申請先が違ってくる。このような事情から、システム化の対象となる承認ルートは、500パターンを超えていた。また将来の事業拡大を考慮して、従来までのユーザー数や伝票数に応じて料金が発生するシステムの利用形態の変革、番組ごとの収支管理など管理会計の高度化も求められた。
Answer
JSOLが出した答え
JSOLは、放送業界特有の損益管理や経費承認プロセスへの知見、さらには国産のERP※パッケージを導入し、会計システムを構築した実績を活かして、TBSグループの課題を解決するソリューションを打ち出した。経費申請・承認の負担軽減を目指して、ERPパッケージ「Biz∫®(ビズインテグラル)」を基軸に、証憑の電子化、電子承認ワークフローを組み合わせ、さらにはAI-OCRにより、領収書をスマートフォンで撮影するだけで精算申請書に必要な情報の自動入力を実現した。また、システム利用にかかるコストのコントロールや管理会計への貢献といった課題については、ユーザーフリーライセンス体系のBIツール活用により、ライセンスコストを抑えながらもプロデューサー、制作現場スタッフなどの幅広い社員がタイムリーに番組別の損益状況を確認できるようになった。
具体的な仕様決定~基本設計~システム構築というシステム開発の一連の流れにおいても、JSOLならではの持ち味を発揮した。真に業務改革に役立つシステムとして形にするために、徹底的にお客様に密着。システムを使うすべての部署の担当者から、実際の業務はどうしているのか、システムはどんな使い方を望んでいるのか等を入念にヒアリングしたうえで計画へと落とし込んでいき、お客様の真の課題をとらえた新会計システムの構築・稼働を成功させた。
※企業の経営情報(財務、人事、生産、販売、物流など)を一元管理し効率化を図るという考え方、また、それを実現するためのシステム。
システム概要図
Effect
答えのその先 〜AFTER STORY〜
社員が会社に戻らずに外出先や制作現場から経費精算業務を行えるようになったことで、番組制作にかけられる時間が増えた。さらに、各番組の制作現場で発生するコストが迅速に会計システムに登録されるため、番組ごとの収支管理、会社全体の管理会計が強化された。また、新会計システムを導入するグループ会社を順次拡大していくことは、TBSグループの会計面のガバナンス強化に貢献すると言えるものだ。
またTBSグループの新会計システム導入による業務革新は、他の放送事業者からも注目され、放送業界における業務DXの動きを加速させている。
PROJECT SCHEDULE
2018年12月
RFP受領
2019年02月
提案書提出
2019年04月
受注/プロジェクトスタート
2019年05月
要件定義・基本設計
2019年10月
詳細設計・開発・テスト
2020年07月
運用テスト・研修・移行
2020年11月
カットオーバー(本番稼働)
第一弾/17社
以降、グループ会社へ順次展開
MEMBER INTERVIEW
PROFILE
T.Kawahara
ビジネストランスフォーメーション
事業本部
エンタープライズソリューション事業部
エンタープライズソリューション部
第二課 課長
2006年(新卒入社)
PL(プロジェクトリーダー)として、品質・進捗管理・成果物レビューなどの開発業務の責任者、対顧客交渉の窓口を担当。PM(プロジェクトマネジャー)とともに、プロジェクトの全体推進を務める。
K.Komiya
ビジネストランスフォーメーション
事業本部
エンタープライズソリューション事業部
エンタープライズソリューション部
第二課 課長代理
2008年(新卒入社)
開発チームのうち、アプリケーション開発を担う業務チームのTL(チームリーダー)。新会計システムに関わるお客様の各部門に足繁く通い、業務理解と要望の把握に努めたことでプロジェクトの完遂に大きく貢献した。
Chapter 01
課題をひきだす力が
認められてパートナーに
T.Kawahara
このプロジェクトは、放送業界での実績もさることながら、お客様がITで解決したい業務課題について徹底的に意見交換をして、「JSOLなら解決できそうだ」と感じていただけたことも受注の大きな決め手だったのではないかと思います。
K.Komiya
そうですね、かなり足繁く通って、お客様に質問をぶつけました。「この人たちは、よくこんなに足を運んでくるな」と思われていたかもしれません。でも、お客様も私たちと同じくらい熱心に打合わせに参加してくださいましたね。
T.Kawahara
「経費精算業務を楽にしたい」「経理業務を高度化したい」と、心の底から求めていらしたのでしょうね。打合わせを重ねるうちに、「もっとこうしたい」「あれもできないか」と前のめりになっていただけて、それにつられるようにこちらの熱量も高まっていきました。
K.Komiya
私は今回のプロジェクトで、放送業界へのシステム導入を初めて経験しました。いざ取り掛かってみると、放送事業ならではの業務フロー、承認プロセスがあって、仕様を固めるのはとても大変でした。
T.Kawahara
一般の企業であれば、固定的な組織があって、申請者の上長が承認すればいい。でも放送事業では、「番組ごとにプロデューサーがいて、同じ申請者がその都度違うプロデューサーに承認してもらう」というケースにも対応しなくてはなりませんでした。
K.Komiya
その他にも、承認フローについては、いろいろな課題がありました。「同じ番組でも、曜日ごとにあるいは月ごとに経費を承認するプロデューサーが違う」「報道、バラエティといった番組のジャンルごとに異なる監督部署にも情報を回さないといけない」・・・ こうしたお客様がRFPに書き切れなかった深いところにある真のニーズをJSOLが掘り出せたことが、受注につながったのかなと思います。
Chapter 02
PL、TL、それぞれの想い
T.Kawahara
受注が決まって開発がスタートしたときに私がいつも考えるのは、お客様とWinWinになるシステムをつくりたいということです。ただし、PLとしては、QCD※のバランスをとることもミッション。心苦しいですが、「対応するもの」「しないもの」を優先度に応じて仕分けをして、設計に反映させていきました。
K.Komiya
私はKawaharaさんとは、まったく逆の立場でした。お客様の要望をすべて聞き出してくることが自分の役割だと思っていましたね。経理精算や管理会計に関わるあらゆる部署の担当者の皆さんと、とことんお話して、実務とシステムへの要望を聞き出し、社内に持ち帰りました。
T.Kawahara
誰よりもお客様と近い位置で開発に取り組んでいたKomiyaさんですが、実際の設計や構築において技術的に難しい点はありましたか?やはり承認ルートの実現でしょうか?
K.Komiya
そうですね。開発面では、お客様の実務に即した多様な承認ルートに対応したり、権限ごとにアクセスできる経理情報をコントロールしたりするために、マスターデータの構造をどのようにするかの工夫に苦労しましたね。Kawaharaさんはどうですか?
T.Kawahara
PLの私としては、業務チームと基盤チームを軸に、機能ごとに設けられた細かいチームをいかにひとつに束ねるかが一番の課題でした。プロジェクト全体のチームワークを発揮させるために、TLを集めた状況報告会を毎週開いて情報共有をはかりました。
K.Komiya
当時、ちょうどコロナ禍でオンラインでのコミュニケーションが主流になりましたから、最初は慣れるまで時間がかかりましたね。私もTLとして、メンバーとのコミュニケーションに気を配りました。相手の体調や気持ちの状態が掴みづらいですから、業務の要点だけのやりとりではなく、ちょっとした声掛けや、状況伺いを心がけていました。
Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を並べた用語で、プロジェクトにおいて重要な3要素からなる指標のこと。
Chapter 03
プロジェクトを終えて、
未来へ
K.Komiya
今となっては最新技術ではありませんが、AI-OCRとスマートフォンを使って経費申請書への入力を自動化したことが印象深いプロジェクトでした。数字が読みにくい手書きの領収書や品目数が多くやたら縦に長いレシート等を問題なく読み込めるようにするために、あらゆるテストをした日々が、大変でしたが楽しく思い出されます。
T.Kawahara
私が印象に残るのは、カットオーバーの後、月次決算を迎えた時のことですね。新会計システムにとっては、最初に迎えた山場でしたから、お客様と一緒に緊張して臨んだことを今でもよく覚えています。お客様とJSOLが一体になって、システムをつくり、動かしたことが奏功したのだと心から感じる瞬間でした。
K.Komiya
間違いなく、そうですね。お客様とJSOLが一体となって情熱をもって取り組めたから、このプロジェクトは成功できたのだと思います。その後JSOLでは、放送業界で新しいお客様のプロジェクトがスタートし、Kawaharaさんも参画されていますが、どんな気持ちで取り組まれていますか?
T.Kawahara
放送業界を制覇。というと大げさかもしれませんが、実績をさらに重ねてJSOLの存在感を高めていきたいですね。Komiyaさんも新しいプロジェクトを推進中だと聞いていますが、この先に向けてどんな目標を持っていますか?
K.Komiya
実は現在のプロジェクトでは、このプロジェクトでのKawaharaさんと同じ立場にあたるPLを初めて任されています。今まで近くで見てきたKawaharaさんのメリハリの利いたマネジメントスタイルを参考にしながら、PLとして成長していきたいと思います。Kawaharaさんが目指すものも教えてください。
T.Kawahara
このプロジェクトに重ねてお話しすると、制作現場を飛び回る社員の「経費精算のために帰社する時間」を削減したことで、番組制作にかける時間が増え、それにより素晴らしい番組が作られて視聴者がHappyに、さらにはスポンサードした企業もHappyに。つまりJSOLのお客様のみならず、お客様のお客様までHappyにさせるシステムをつくりたい。そんな想いを胸に、さまざまなプロジェクトに挑戦していきたいと思っています。
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