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PROJECT OUTLINE
少子高齢化による労働力不足に伴い、トラックドライバーの減少傾向が顕著になっている。加えて2024年4月1日以降、トラックドライバーの時間外労働時間に上限規制が設けられることで輸送能力がひっ迫している(物流2024年問題)。こうした中で、各業界ではITを活用した物流業務の革新が活発に推進されている。
JSOLは、製紙・段ボール業界からの依頼を受けて、配送情報ポータルシステム(Delivery Information Portal
System以下、DIPs)を構築し、製紙会社から段ボール会社への段ボール原紙の配送に伴う作業の大幅な効率化に貢献した。製紙会社と段ボール会社の双方がDIPsを使うことで、トラックドライバーの負担となっていた「現品への情報記載やラベル貼付」などの作業が省力化され、受入れ側も検収作業の時間が短縮される。しかし“業界全体で使われるシステム”をつくるには、関係各社の利害を調整し、関係各社の最大公約数となる解決策を探る必要がある。そこでJSOLは、製紙業界へのEDI※サービスの提供を通して信頼関係を築いていた株式会社カミネット(以下、カミネット)と連携し、“業界全体で使われるシステム”の構築という難易度の高いプロジェクトを成功させた。
※電子データ交換。企業間で取引する各種帳票を専用回線やインターネット回線を用いて電子取引する技術のこと。
BEFOR & AFTER
お客様の課題
課題 1
ドライバーの作業負担(納品先に合わせたラベル貼付や手書き作業など)が多大
課題 2
ドライバーの待機時間が長い
(長時間労働が常態化)
課題 3
人手に頼った検収作業が行われていて、
検品間違いが発生
導入効果
効果 1
ラベル貼付や手書き作業が不要となり、ドライバーにかかっていた負担が軽減。
効果 2
RFID(※)を活用してハンディ端末を荷物にかざすだけで検収作業が完了。
受入れ作業がスピードアップし、ドライバーの待機時間が短縮。
※電波により非接触で専用タグの情報を読み書きする自動認識技術のこと
効果 3
製紙工場の情報と段ボール工場の情報の一元化により、正確な検収作業を実現。
Mission
お客様の課題
2024年4月より、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が定められた。これにより、輸送能力が不足する物流の2024年問題が懸念されている。物流に関わるすべての企業で対処すべき問題となっている。
物流事業者は製紙会社から段ボール原紙を段ボール会社に輸送するが、着荷主となる段ボール会社の多くの事業所では、荷卸しの際に原紙管理を自社内で行うための自社固有の情報が記載されたラベルを貼付する作業や、段ボール原紙に直接情報を記載する作業をトラックドライバーに依頼している。また検収に際しては、段ボール原紙一本ずつの伝票照合作業に時間を要している。さらには、前のトラックの受入れ作業の終了を待つ待機時間も発生している。
また、荷物を受け取った段ボール会社においても段ボール原紙を自社システムに登録するという非効率な作業が発生していた。
Answer
JSOLが出した答え
JSOLとカミネットは各製紙会社・段ボール会社からの課題や要望を取りまとめ、多くの企業から賛同してもらえる仕様、コストでDIPsを提案した。
JSOLはこのDIPsにおいて、Webシステム、EDI連携、スマホアプリなど、既に保有していた技術要素に加えて、荷物に付けられたタグの情報を無線で読み取るRFIDなどの新しい技術要素も取り入れて、荷受け作業、検収作業の効率化に貢献するシステムを構築した。カットオーバーとなった後も、製紙会社・段ボール会社からの声を受けて改善を重ね、DIPsのさらなる普及に努めている。
システム全体図
Effect
答えのその先 〜AFTER STORY〜
RFIDを活用したDIPsとEDIを連携することで、配送に係る作業時間の短縮を実現した。
具体的には、段ボール会社が直接DIPsに登録した注文明細と、製紙会社がEDIを通じてDIPsに登録した出荷明細を紐づけ、読み取ったRFIDの情報とこの紐づけ情報を連携させた。これにより、現品への情報記載やラベルの貼付作業が不要となるほか、伝票の照合作業はRFIDリーダーで読み取るだけとなるため、検収作業の時間が大幅に削減された。こうした作業の効率化に伴い、トラックの待機時間も大幅に短縮された。また、段ボール会社にとっても、自社システムへの登録作業が省けた。
さらには、受入時に使用したRFIDを段ボール会社の現品管理に活用することも可能となった。
PROJECT SCHEDULE
2022年05月
クライアントよりご相談
2023年07月
RFP(※)発行・提案
2023年08月
競合とのコンペの結果、
JSOLに決定
2023年10月
プロジェクトスタート
2023年12月
詳細設計・製造・テスト開始
2024年06月
ユーザテスト支援、移行準備
2024年08月
カットオーバー(本番稼働)、保守運用開始
※提案依頼書。発注側の企業が情報システムの導入や業務委託を行うにあたり、発注先候補の事業者に具体的な提案を依頼する文書のこと。
MEMBER INTERVIEW
PROFILE
T.Ueda
エンタープライズ&ソーシャルビジネス
統括本部
金融・公共・流通・サービス営業統括部
公共・流通・サービス営業部第二課
課長代理
2004年(新卒入社)
構想段階からJSOLの窓口として、顧客(カミネット)、ユーザー(製紙会社・段ボール会社)、開発パートナーとの調整役として、DIPsの仕様決めや予算管理などに携わる。DIPsをプラットフォームとした業務革新構想を現実のものとするために、各ユーザー企業へのサービスの提供スキーム構築にも関わった。
M.Shizuki
カスタマーエクスペリエンス事業本部
カスタマーエクスペリエンス第六部
第一課
2007年(新卒入社)
企画提案・見積段階からDIPsプロジェクトに関わり、開発段階ではPM(プロジェクトマネジャー)として、スケジュール管理、メンバー間調整などの全体統括を務める。本番稼働開始後は、利用企業の拡大が順次進められるDIPsの保守運用と二次開発作業に携っている。
Chapter 01
社会貢献への想いをもって
難題に挑む
T.Ueda
DIPsの計画を最初に聞いた時は、「難しそうだな」というのが正直な感想でした。関わる企業の数も多く、予算もどれだけかかるか見えなかったからです。それでも、物流という大切な社会インフラの課題解決につながる仕事ですから、「何とかできる方法を探そう」と動き始めました。
M.Shizuki
私も最初は、どうなることか心配していました。ひとつの業界全体で多くの企業に広く使ってもらうシステム開発は未体験のことでした。製紙業界の知見を持っているカミネットさんと協力体制がとれたことが、大きかったのではないでしょうか。
T.Ueda
そうですね。EDIサービスの提供を通して長年のお付き合いがあったカミネットさんとの協力体制がとれたことが、DIPsを受注できた一番の要因です。このプロジェクトはお客様がコンペを通して受注先を決めるものでしたので、コンペに向けて2社が二人三脚で、いくつもの製紙・段ボール会社に、「どんな機能のシステムがどんなコストで使えるなら契約してもらえるのか」をインタビューし、それを反映した提案書を作り上げました。
M.Shizuki
受注が決まった時は、ほっとしましたよね。Uedaさんをはじめ営業チームは、どんな様子だったのでしょう?
T.Ueda
もちろん、みんなで喜びましたよ!部のミッションでもある社会のトランスフォーメーションにつながる仕事ですから、「何としても自分たちの手で取り組みたい」という強い想いで、本件のコンペに臨んでいたからです。
M.Shizuki
コンペの結果としては、私たちの提案が圧倒的に評価されて受注できたわけですが、あそこはあくまでもスタートライン。最終的には100を超える数の工場で使ってもらうことを目指したシステムですから、開発担当としては身の引き締まる思いをしていました。
Chapter 02
プロジェクトを前進させた
コミュニケーションの
積み重ね
T.Ueda
実際にスタートしてみると、やはり各社のDIPsの機能に対する要望がバラバラで、それをとりまとめて最終的な仕様を決めるのは、大変でしたね。要望を適切に調整しないと、システムが膨らみすぎたり、逆に業務に利用できずDIPsを導入できない企業が出てきてしまいます。
M.Shizuki
私もPMとして、仕様を固めるために製紙会社・段ボール会社など、社外の皆さんとのミーティングに参加しましたが、複数の企業が使うシステム開発の難しさを痛感する日々でした。
T.Ueda
社内の開発作業については、どうでしたか?EDI連携を担当するチームが東京にいて、Web アプリの開発チームが大阪にいて、さらにニアショアの沖縄にもメンバーがいるなど、各技術領域を受け持つチームが物理的に離れていましたが、トラブルはありませんでしたか?
M.Shizuki
私はPMとして、役割分担を明確化することと、スムーズな情報共有に気を配っていました。それが功を奏して、コミュニケーションの食い違いなどで開発に支障をきたすことはありませんでした。
社内のコミュニケーションはうまくいきましたが、社外の関係各社とのコミュニケーションは、予想した通り簡単ではありませんでしたね。
T.Ueda
DIPsに求められる機能や最終的な仕様を固めるなかで、どうしても個社別の要望を全て盛り込めないケースが出てきます。それでも「将来のために業務をより良くしよう」という大きな目標に共感し、標準仕様を受け入れていただくべく、カミネットさんと協力して丁寧なコミュニケーションに努めて理解を得ていきました。
Chapter 03
JSOLが発揮する
社会価値を創る力
M.Shizuki
DIPsは現在、より多くの企業に使っていただけるシステムを目指して、二次開発を進めています。私は今回のプロジェクトを振り返って、JSOLの強みがあらためて見えてきたと感じています。それは、人財や技術など社内のリソースと社外のリソースを組み合わせて、今までにないシステムを創る力です。
T.Ueda
社外のリソースという点でいうと、JSOLがDIPsではじめて取り組んだRFIDも専門的なノウハウを有する社外パートナーと連携してうまく取り入れることができましたね。
M.Shizuki
そうですね。これからもJSOLは、社内のリソースと社外のリソース、実績のある技術領域と最先端の技術領域、異なるものを融合する力を発揮することで、いかなるシステムも創り出していけると思います。Uedaさんは、DIPsのプロジェクトを振り返ってみていかがですか?
T.Ueda
営業担当として、ひとまわり成長できたと思います。入社以来、主に1人で営業活動に取り組んでいましたが、今回は後輩の営業と2人体制で、後輩指導をしつつ役割分担をして、業界規模で使われるシステムの開発プロジェクトを進めることができて自信になりました。
M.Shizuki
私も自分の確かな成長を感じています。これまでに多く手掛けてきたシンプルなB to Bの取引で使われるシステムではなく、複数の企業のビジネスを支えるITインフラをつくる仕事であると同時に、「物流2024年問題」という社会課題に対応するチャレンジングなプロジェクトを経験して、新しい視野を得ることができました。
T.Ueda
私も社会課題の解決に貢献する仕事というのは、こんなにもモチベーションがあがるものだとわかりました。複数社の利害を調整してひとつの業界をトランスフォーメーションする。DIPsで得た貴重な経験を活かして、今後も世の中のトランスフォーメーションを促すプロジェクトに積極的に関わっていきたいと思います。
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